そして、騒ぐ女子とかわいい幼なじみを暗いすみっこで見つめるのは


俺、宝城 大介 (ホウジョウ ダイスケ)。

昔から目立つことを知らず、

女子ともあまり関わることがなかった。


話すとすれば、「プリント回収するよ」とか「次の授業なんだっけ?」(近くに俺しかいない場合のみ)とか、社交辞令というか外交辞令というか、その部類の会話だけ。


友達も、俺に似た奴は結構いたはずなんだけどなー。


ここ数日話した記憶が無い。


明李は何が楽しいのか、そんな俺にほとんど毎日絡んできている。

幼なじみ特有の同情って奴かな。

ああ、俺って悲しい人間だな、全く。


「アンタさー、もう少しくらい目立とうとすれば?」

昼休み。

今日も明李は俺の机にお菓子を持ち込んで話し掛けてきた。


「もてようとしなよ。てか、モテろ。」

ポテトチップスを片手に明李はそう言った。

「命令ですか。でもそれはできない!俺は地味なりに楽しく生きてんだから。」

「地味じゃなくたって楽しい生き方はありますぅ~。アンタが地味だとあたしがこまんのよ。」

“困る”

個人的すぎますって。

数分前にあけたはずのポテチの袋は、明李の腕の中で寂しそうに銀色の中身をさらけ出していた。よく食べる奴だ。