「あたし……大人になんかなりたくない」


「……三田さん?」



……珍しく柏木のギターを弾く手が止まった。



「大人になったらあたしとか、柏木みたいなヤツの夢奪うんだよ?ヤだよ、そんなの!」


「……三田さん夢あったっけ?」


「いい!そこ突っ込まなくて!」


「……はい」



素直に返事をした柏木は


もうさっきみたいな顔じゃなかった。



優しげに笑って、


ギターを掻きならした。