「……え? 今さら驚いてんの?」
「だって、だって、ええっと……」
「信じられないなら、触ってみるか?」
おそらく橋川さんと思われる人物――いや、幽霊が、布団越しに私の腕に触れる。たしかにその腕は私に触れたように見えた。しかし、何も感じない。
腕はすっと私の体をすり抜け、そのまま彼の体のパーツは私の体をすり抜けていき、ついには彼はベッドの下に隠れてしまった。
まじかよ、なんだかくらくらしてくる。
幽霊はにやっと笑いながら、ベッドの下から再び姿を現した。
「まあ、俺が夢の中で話した通りってことで。今、お前が目が覚めそうだったから、こっち戻ってきたんだよ」
「…………」
もう、なんでもありなんだな。
ぼんやりとそう思った。