目を開くと、白い天井が広がっていた。ここはどこだろうと辺りを見回そうとしたが、体中がぎしぎしと痛み、どこも動かせなかった。

 何があったのだろう。自分の体のことなのに、いやに冷静だった。そして、懸命に記憶をめぐらせる。


 確か私は……学校から帰ろうとしてたんだ。それで……大通りの信号を渡ろうとしたら、急に車が曲がってきて……そうだ、それに接触してしまった。
 一瞬体中に激痛が走った後、意識を失った。その後のことは、覚えてない。
 となると、普通に考えればここは病院なのだろう。そういえば、つんと鼻をつくガーゼのようなにおいもする。


 ああそうか、それなら納得だ……今私が見ていたのは、ただの夢ではなくて、世間一般で言われている「三途の川」というやつだったのだろうか。なんだか、そうやってあまりにも冷静に物事を処理できてる自分が嫌になってきた。

 そう思って、ふと再び重いまぶたを閉じる。


 ああ、何だか、とても疲れているみたいだ。また眠ろう――。
 私はまた深い夢の世界に沈んでいった。