「高校だろ? どこ校? 何年?」


 私が答える前に、次々と質問を浴びせてきた。


「水木高校。一年だよ」


 私が短く答えると、彼はなんとも微妙そうな顔をして「ふーん、そうなんだ……」と言った。少しだけ、嘲笑が含まれているような気もしないでもなかった。
 確かに飛びぬけて頭がいい高校ではないが、そんなに微妙な顔をされるほど悪い高校ではないはずだ。普通の――本当に至って普通の――レベルの公立高校である。

 だから、彼の態度にちょっとかちんとくるのは当たり前なわけで。



「な、なに、その反応! あんたはどこ通ってるのっ?」
「双英、の特進」
「は、はあっ? なに、それ。反則よ!」


 双英は、水木高校の割と近所にある私立校だ。

 そこの特進のレベルは、――まあ、言うまでもないかもしれないが、受かるのはめちゃくちゃ難しい。中学校の定期テストでいつも上位十位をキープしているような人が入れるようなところ。私の住む県のトップレベルの公立校と肩を並べて威張れるくらいなのだ。

 つまり私にとっては、雲の上の世界。