橋川さんはため息をついて言った。


「お前、ほんと遅い。俺がどんだけ待ったと思ってんだよ」
「いや、そもそも私ずっと寝てたんだから。すぐ寝ろって言うほうが無理なの、分かる?」


 すかさず突っ込みを入れた後、つかつかと教卓に近づいてゆく。
 すると、橋川さんが口を開いた。何か反論が返ってくるのかと一瞬身構えたが、地が買った。彼は教室を見回しながらこう言ったのだ。


「ここ……お前が通ってんの?」