よく見ると、そこは教室だった。しかも、机の並びやらなにやらに見覚えがある気もした。……水木高校の一年二組、私の通うクラスみたいだ。なんとなくだけど、そんな確信。

 窓からは、光が差していた。
 その光は、教室の机や椅子を綺麗に照らしていた。陽の光に照らされると、どんなぼろい机でも輝いて見えるんだなあ。


「あ、やっと来たか。おせえよ」


 机に触りながら、おぼろげな記憶から探り出す。

 夢の中で、夢を見ているって自覚出来て、自由が利けるようになる話。覚醒夢、とか言うんだっけ。自分は今、それを見ているみたいだ。

「おい、無視かよ」ちょっと怒気を含んだその声で、はっと気がつく。
 声のする方を見ると、橋川さんが教卓に座っていた。先生に見つかったら絶対怒られるよなあ。多分、来ないだろうけど。