「きよせ、まり。かぁ・・・。
いいなぁ~。」

・・・なに言ってんの?この人。
シカトしようにもできないから、とりあえず話をしてみる。

「・・・なんで?」

こんなことしか言えないあたし。

「だってさ、なんか・・・。
音がキレイじゃん?『きよせ』とか、『まり』とか。」

・・・・・・?
ほんと、なに言ってんだろ、この人。
そんなこと言われたの、初めて・・・。

話を続けなきゃいけない感じだったから、一応お世辞を言ってみる。

「・・・『やましろ きょうや』だって、悪くないんじゃない?」

あぁ、あたしって、お世辞下手なんだった・・・。
こんなに困ってるあたしに気付くことなく、
話し続ける転校生。

「そうか?でもさ、『きょうや』のきょうって、あんずって書くんだぜ。
なんか、女みてぇ。」

そうか、わかったぞ。
この転校生、自分の名前がキライなんだ。
べつにこの歳になっちゃえば、慣れてくるもんだけどね。

そんな分析をしてる間に、授業は終わった。