ここで、マキオクンの推測は本当に正しかったのか、検証してみよう。
 店の定休日は毎週水曜日。現在、カフェ・レノンに在籍するウエイトレスは3人。カナとリン、もう1人は開店以来勤続し、2人からは姐御的存在として慕われているヒビキという女性だ。この店には確かに早番と遅番がある。が、それは平日に限り、その分岐点は17時。平日は17時以前に1人、17時以降はアフターファイブの客を見込んで2人。平日はフリーターであるヒビキがフルタイム、専門学生であるカナかリンが遅番。カナとリンが共に遅番として出勤する場合、ヒビキは早番となり17時で仕事を終える。土日は常時2人であるため早番も遅番もない。ヒビキは週休二日を採っており、店の定休日である水曜日と土日のどちらかが休日となる。そのため、カナとリンは土日のどちらかに必ずフルタイムで出勤することになる。ちなみに勤務時間は14時からではない。開店準備のため、1時間早い13時からだ。以上により、先週の金曜日のシフトはヒビキが早番、カナとリンが遅番だったというわけである。
 ではなぜあの日、1時間の遅刻をしたカナの出勤時間が18時ではなく19時だったのか?