「ねえ、どこへ行くの?」


首を傾げて何度も聞くわたしの手を力強く握り返し、達也は微笑む。


「オレの大好きな場所」


少し照れたように、達也は笑う。


「えー、楽しみ」


わたしが達也を見上げて笑うと、愛おしそうに目を細める達也がいた。


連れて来て貰ったのが、この喫茶店だ。


達也は馴れた足どりで、窓際の奥の席に向かう。


カウンターを通る時にマスターに軽く会釈をする達也を見て、顔なじみなのだとわかる。


「この喫茶店、なかなかだろ?」


得意げに言う、目の前の恋人。