『カフェ・オレ?』


マスターの問い掛けに、わたしは首を振る。


『ブレンド……お願いできますか?』


マスターの優しい目を見て、わたしは言った。


『……今日で、ここに来るのは最後になると思うから』



達也のお勧めのブレンド。


甘党のわたしはいつもカフェ・オレに砂糖を二杯入れる。


そんなわたしをからかいながら、いつもブレンドをブラックで飲む達也。


今日だけは達也と同じ味を味わいたかった。


マスターは、わたしから開かれなかったメニューを受け取り、優しく言った。


『ブレンドですね。かしこまりました』