怒りが頂点に達した女は、顔を真っ赤にし「自称・俺のオンナ」を語る女を突き飛ばした。


突き飛ばされた勢いで、女の口に入っていたチュッパチャップスは床に転がった。


「おまえみたいなヤリチン、シネ!!」


そう捨て台詞を吐いたまま、家を飛び出していった。



「イッタぁ…
何であたしを突き飛ばすかなぁ…」


床に落ちたチュッパチャップスを拾い、ゴミ箱に捨てた。


「アンタ、こんなことばかり繰り返してたら、いつか女に刺されるよ?」


「うるせぇな…」



ミユキから突き返された合鍵は、いつの間にかこの女に渡った。


いつもその繰り返しだった。


俺に特定の重点的に貢いでくれる女が現れれば、その女に合鍵は行く。


しかし特定の女がいない場合は、合鍵はいつもこの女の手に渡る。


梢──
この女の名は、梢



世界で一番俺を知っている女