『う゛~っ。』


私はチェックが終わって帰ろうとする翔くんのスウェットの端っこをぐっと掴んでしまった。



『あははっ。どしたサヤカ?またいつでも会えるから連絡しておいで。』


ブルガリブラックの香りがする翔くんのおっきな手が私の頭をポンポンっと撫でる。


『うん…また連絡する。』


掴んだ手を緩めた。

『ありがとうございました~!。』


見送りが終わって、翔くんから貰った名刺を大切に財布の中に閉まった。




お客様にこんな大胆な事をしたのは初めてだった。ううん、翔くんだったから大胆だったのかも…。

あたしは冷えたウーロン茶をカブ飲みしてからまた違う席に付いた。


『失礼しますっ。』