たくさんの話をして、とても楽しい一夜になった。
「次! 次カラオケ行こっ!」
酔っ払った春香が提案した。
「おぉ~!! 行こ行こ!」

結局、他の皆も賛成し行くことになった。

「うっっ… 」
店の外に出た瞬間、吐き気がした。
でも、皆は酔ってる… 誰も家に送ってくれそうにない。
そんな時、後ろから声がした。
「家まで送るよ」
それは…泰一君…
「え?」
私は、驚いて聞き返した。
「お前、酒に弱いんだろ?」
当たってる…
初めて会った人なのに…
「行くぞ」
そう言われて、私はただ前へ歩き出した。
途中で吐いては、泰一君が傍にいてくれた。
何故か心が安心した…。


「ありがとう。 もういいよ。おやすみ」
泰一君にお礼を言って、家の中に入った。
すると、リビングからお母さんが出てきた。
「おかえり。 ところで、こんな時間までどこ行ってたの?」
お母さんの質問に答えず、私は自分の部屋へ向かった。
「稀由!! 聞いてるのよ! 夜遊びなんていい加減にしなさい!!」
階段の下からお母さんの怒鳴り声が聞こえたけど、聞こえないフリをした。