「日向……」


自然と口に出してしまう名前。

姿を見ただけで締め付けられる胸。

名前を呼んだだけで泣きそうになる。


この気持ちを人は何と呼ぶの?



ポン……


肩を叩かれ、振り向いた。


「橘君?」


そこには、学年の中ではまぁまぁ人気のある橘 憂貴君が居た。

そんな橘君が何の用だろ?


「どうしたの?」


「ちょっと来てくれる?」