「実緒、今日パパいるさ…
東京から突然帰ってきたんだよ~昨日。あはは」


「まじで?!実緒のお父さん楽しいね♪」





パパ…





本当に心からそう呼べる相手があたしにはいない。


だから実緒が言うと、なんか新鮮な感じがする…。



「てことで今日、実緒こっちだから~♪」


「うん☆じゃあね!!」


「また明日ね~い」



実緒と別れて歩く。



公道を挟んで隣には男バスが歩いている。

その少し先には里織がいる。



「里織~!!!!!」


大声で叫んでみた。




里織が振り向いて、手を振ってる。




横断歩道の信号が点滅している。



…が、その信号を無視して走る。






やっとのことで里織に追いついた。




「ふう~…疲れたあ」


「お疲れさん♪」




里織は身長が高くて、全てが細い。

顔が小さくて、眼鏡をかけている子。


恋する乙女。



「美緩♪」


里織があたしを呼ぶ。


「ん~?なぁに?」


「…好きな人いる~?」




心臓が止まるくらい驚いた。