少しして母親が着替えなどを持って来た。
『さくら、おはよう!!』
『おはよう!!』
それから花瓶の水を替えて帰って行った。
ヒマだなぁ…
うちは窓から空を眺めていた。
ベッドの周りはカーテンで囲まれている。
そのカーテンの向こうから聞こえてくる楽しそうな声。
いろんな人がお見舞いに来てるんだろうな、、
うちは少し淋しくなった。
うちはトイレへ行こうとベッドから起き上がってカーテンを開けた。
そして部屋のドアを開けて廊下へ出た。
部屋の外の壁には4人の名前が書いてあった。
つまりうちがいた部屋は4人部屋ということだ。
そしてうちが寝ていた場所は窓側で空が良く見えるいい場所だった。
トイレへ向かう途中2人の男の子とすれ違った。
うちはその内の1人の笑顔に目を奪われた。
そして一目惚れしてしまった。
その日までうちは一目惚れなんて有り得ない!!って思ってた。
何で相手の性格も知らないのに好きになれるんだろう?って思ってた。
それに、つい最近 彼氏と別れてもぅ恋なんかしないって思ってたはずなのに…
それなのに一目惚れって…
うちはそんな自分に少し呆れた。
でも、それは運命だったんじゃないかな??
彼氏と別れたことも事故に遭ったことも
きっと君に出会うためだったんだと思うよ。。
トイレから戻ってカーテンの外から聞こえてくる声に耳を傾けた。
どれも他愛のない話。
だけどそんな他愛のない話でも羨ましかった。
『ハーーー…』
大きな溜息を吐いて誰かがお見舞いに来てくれることを期待していた。
その時カーテンの向こうから誰かが
『さくらちゃん??開けてぃぃ??』と言った。
聞きなれない声…
だけど【さくら】って私のことだよね??
そう思い『どうぞ』と答えた。
そして開かれたカーテンの向こうには見たことのない女の子が立っていた。
『私、澤野美由!!
ここの2つ隣の部屋に入院してるの!!よろしくね!!』
うちは小さく頷いた。
『さっき看護婦さんに
私と同い年でさくらちゃんっていう子がいるって聞いて急いで来たの!!
さくらちゃんも中学2年生でしょ!?』
『うん!!美由ちゃんも??』
『そうだよ!!私たちぃぃ友達になれそうだね!!』
これが美由ちゃんとの出会い。
明るくてとてもかわいい子というのが美由ちゃんの第一印象だった。
『さくらちゃんって好きな子おる??』
『う~ん、、好きな子っていうか気になる子ならおるよ!!』
『どんな子??』
『1回しか見たことないけぇよく分からんけどこの病院に入院しとる子』
『一目惚れなんじゃね!!私、さくらちゃんのこと応援するけん!!』
『ありがとう!!』
『さくらちゃんも私のこと応援して!!』
『美由ちゃん、好きな子おるん??』
『うん!!この隣の部屋に城田修也って子がおるんじゃけど
その子のことがスキ!!』
『どんな子??』
『かっこよくて優しい子!!』
『会ってみたい!!』
『じゃぁ今から呼んでくる!!絶対に惚れちゃいけんよ!!』
『大丈夫よ!!』
『絶対絶対約束じゃけぇね!!』
『うん!!』
いつ誰のことをスキになるか分かんないのに
何でこんな約束してしまったんだろう・・・・
こんな約束しなければよかった・・・
数え切れないほど後悔した・・・
だけど何度後悔したって遅かった・・・
『じゃけぇ何??』
『ぃぃけぇ来て!!』
『行くけぇ説明しろって!!』
カーテンの向こうで言い合いをする声が聞こえた
そして『さくらちゃん、開けるよ!!』と言って
うちが返事をする前にカーテンは開かれた。
そして瞳に映ったのは美由ちゃんとあの日の男の子
-----うちが一目惚れしてしまったあの男の子
『さくらちゃん、城田修也くん』
城田修也・・・美由ちゃんの好きな子だよね、、
じゃぁうちが一目惚れした相手と美由ちゃんが好きな相手は一緒ってこと??
『さくらちゃん、修くんは私たちより1歳上!!
じゃけど敬語なんか使う必要ないよ!!』
『それ俺のセリフ!!お前が言うな!!』
『別にぃぃじゃん!!修くん敬語嫌いじゃろ??』
しばらくの間2人は言い合いをしていた。
だけど うちの頭の中は美由ちゃんとの約束のことでいっぱいだった。
『さくらちゃん??聞いとる??』
『ごめん、何??』
『何かあった??』
『え??』
『ボーっとしとるじゃん??』
『いや。。2人仲良いんだなぁ!!って思って』