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「ア~ン、今日も教科書見せて!」


「なんで、あんたはいつもそうなの?勉強する気あるの?」


毎度の事でアンは呆れている。


「いーじゃん!アンちゃん、お願い!」


両手を合わせ、お願いをすと…


呆れ顔でため息をつきながらも〝しょうがないなぁ″って見せてくれる。


「なぁ、アン。わかんねぇとこあんだけど…」


今日の俺はいつもと違うんだ!


アンはそんな俺には気付かず、いつものように〝どこなの?″って近付いてくる。


そして、今日もアンからふんわり優しい香りがする。

サラサラの髪を耳にかけ、説明をしてくれる。


「アン…」


「ん?」


「…好きだ」


その言葉にアンの動きが止まった。


そして、俺をチラッと一瞬見て視線を教科書に移す。

アンの顔は真っ赤でりんごみたいだ。


そして、アンはゆっくり口を開くと…


「私も…好き」


教科書を見たまま小さく呟いた。


「マジ!?」


うれしくて、大声を出しそうなったが授業中という事を思い出し我慢した。


その言葉にアンはまだ赤い顔で小さく頷いた。


そして、アンの長い髪を掴みとるとキスをした。


いつもはこっちを見て怒るのにまだ教科書を見つめたまま。


こっちを見て欲しくて、アンの顔が見たくて…


教科書を机の上に立てて壁を作り、アンの頭を引き寄せ…


ーチュッ


教科書の壁の影でアンと唇を重ねた。


「ちょ、ちょっと! 何すんのよ!」


いつものように怒って見せるアンがかわいくて好きだ。


*END*