「ほ~♪あの真面目なノリにしては記憶を無くすなんて珍しいね。しかも、見ず知らずの男とね~♪」


「お願い、もう言わないで…」


時間を戻せるなら、ヤラかしてしまった事をなかった事にしてしまいたい!


「あたしとお店を出てすぐに別れたじゃない?その後はどこに行ったか覚えてないの?」


レイコに言われて、改めて思い出してみる。


う~ん、う~ん…


「あっ!!」


「何?思い出した?」


「レイコと別れた後、チャラ男に絡まれちゃって…男の人に助けて貰った!それで…」


「それで?何?どうしたの?」


「それで…助けて貰ったお礼に飲みに行って…そこから記憶が…ございません。」


シュンと肩を落とし、頭を抱え込んだ。


あ~、情けない!


記憶がなくなるまで飲んで挙げ句の果てに見ず知らずの男と一夜を共にしてしまうなんて…


××××××××××××××

「ノリちゃん!これから会議あるから、この資料並べておいてくれる?」


「はい、わかりました。」

先輩に頼まれた資料を持って、会議室に入ると…


男の人が1人、窓から外を眺めていた。


「あの…会議でしたら、始まるまであと1時間ありますが…。」


恐る恐る男の人に近付き、背中に話しかけると男の人は振り返り、無言であたしの目の前まで歩み寄った。

な、何?


そして、胸ポケットから紙切れ1枚を取り出し、あたしの目の前に差し出した。