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今日はひとりの帰り道。


チャリ係のダチは風邪で休んだから仕方なく歩き。

だりぃなんて思いながら、帰っていると前から見覚えのある人が歩いてくる。


彼女だ…


俺に気付いた彼女は笑顔で小さく手を振っていた。


「あれ?今日はひとりなんだね?」


「あぁ。あいつ、チャリ係なんだけど、今日は風邪で休みなんだ。」


「だから、歩きなんだ?」

「そう。あ、あのさ…これから時間ある?」


俺ひとりっていうチャンスを機に思い切って、ダメもとで彼女を誘ってみた。


「えっ?時間?あるけど…」


「俺行きたい所あるんだけど一緒に行かない?」


「行きたい所?」


彼女は不思議そうな顔で首を傾げていた。


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「うわ~!すごい綺麗!」

風景を一望出来る高台に来ている。


そして、彼女は目を輝かせてながら風景と俺を交互に見ていた。


そんな子供っぽい彼女がかわいくて胸がキュンとする。


「ここは誰にも教えていない、俺のお気に入りの場所なんだ。」


「えっ?誰にもって…。どうして私なんかに…?」


「どうしても君だけには教えたかったんだ。」


ドキドキしながら、真っ直ぐ彼女を見つめた。


「うれしい…ありがとう!」


満面の笑みを見せてくれる彼女にまたドキューンと心臓を撃ち抜かれてしまった。


「あ、あのさっ。」


「ん?」


「俺、帰り道にすれ違った時から…ずっと君の事が…気になってたんだ。だから、今度デートしてくれないかな?」


彼女を真っ直ぐ見つめ、思い切って自分の気持ちを伝えた。


彼女は少し戸惑いながらも頬を赤くし口を開いた。


「私で良かったら、デートして下さい。実は私も前からあなたの事が…」


その日の帰り道、俺と彼女は手を繋いで帰った。


*END*