いつものようにダチが漕ぐチャリの後ろに乗って帰る放課後。


いつも帰り道でいつもすれ違うあの子。


可愛いと評判の女子高の制服を着て、綺麗な顔立ちにサラサラの長い髪をなびかせながら歩いている。


名前も何年生なのかもわからない。


そんな彼女に恋をしてしまった。


話しかけるなんて絶対ムリ!


彼女とすれ違う時、いつもダチとふざけてる俺の印象はきっと悪いはず…


彼女の凛とした顔を思い浮かべるだけでもニヤけてしまう。


「な、なんだよ!ひとりでニヤニヤして気持ち悪りーな!」


「うっせーな!」


俺の様子に気付いたダチが白い目で見ていた。


そんな俺達の横を彼女はいつものように通り過ぎた。

彼女の後ろ姿を見ていると、ポケットからハンカチが落ちるのが目に飛び込んできた。


俺は彼女のハンカチを拾い、思い切って声をかけた。

「ねぇ、ハンカチ落ちたよ!」


彼女はびっくり顔で振り返って俺を見た。


そして、俺の所まで歩み寄ると優しく微笑んで…


「ありがとうございます。」


その表情にドキューンと心臓を撃ち抜かれてしまった。


俺、死んでもいい…


なんて思っている俺に彼女が話しかけてきた。


「あの…手、ケガしてますよ。」


「ケガ?あぁ、これくらいたいした事なって!」


手の甲の擦り傷に気付いた彼女は心配そうに見つめている。


そして、カバンから絆創膏を取り出し、俺の傷に貼ってくれた。


嬉しさとドキドキで心臓が張り裂けて死んでしまうかも!


その日から帰り道、彼女と会うと言葉を交わすようになった。