「私も同じ…」


「えっ?」


「みんな勝手にイメージ作り上げて、ホントの私なんて見てくれないの。クールで強くないのに…ホントは寂しがり屋の甘えん坊なのに…」


そんな時…


「よぉ!何してんだよ?」

「おぉ!ちょっとな。お前は今帰り?」


振り返ると防波堤の下に彼と同じ制服を着たガタイのいい坊主頭の人が立っていた。


坊主頭の彼は私と目が合うとニッコリ笑って見せた。

「あっ!その子って…例の?」


「おい!お前、余計な事言うな!もういいから、帰れ!」


坊主頭の彼の言葉にキョトンとしている私とは逆に隣にいる彼は焦っていた。


「へいへい…、帰りますよ。じゃ~な♪あっ!ねぇ、そいつ一途でいい奴だから!」


そう言い、坊主頭の彼は手を振りながら帰っていった。


また、2人きりになった私達の間には沈黙が流れた。

「ごめんな…。ダチが…変な事、言ったみたいで…さっ。」


あぁ…、さっきの彼が言った事か。


「実はさ…、前から君の事知ってたんだ。」


「えっ?」


「初めて君をここで見かけてから、気になってて…。その時、俺…失恋したばっかで…」


彼は真っ直ぐ私を見つめ、また話を続けた。


「でも、気になってて…ここに来れば、また会えるかもって毎日ここを通って帰るようにしてたんだ。」


その言葉にドキンと胸が高鳴る。


「俺…君の事好きなんだ。だから…」


「あ、あの…。私…」


突然の告白にびっくりして、うまく言葉が出てこない。


「ごめん、迷惑だよね?」

「ち、違うの!私もあなたの事が気になっていて…今日もここに来たら、会えるかなって…」


頬を赤くし、彼を見つめ返すと彼はうれしそうに笑った。


「こんな情けない俺だけど、付き合ってくれる?」


「私だって、外見と違って寂しがり屋で甘えん坊だけど…」


「そのギャップがいいんだよ。」


そう言って彼は優しく微笑んだ。


この場所で出会った、失恋者同士の新しい恋が始まった。


*END*