「もう、今度こそ恋なんてするもんかー!」


防波堤の上に立ち、海に向かって大声で叫んだ。


みんな、私のイメージを勝手に作り上げちゃうから、ホントの自分を出せなくなって苦しかった。


ホントは寂しがり屋で甘えん坊なのに…クールで強いって思われて…


叫んだ後は防波堤に座って、ボーッと海を眺めて心を癒す。


「さ~て、帰ろ!」


気持ちもスッキリして、足取り軽く防波堤を歩いていると…


あっ、あの人!


ここに来るといつもすれ違う、私と同い年位の男の子。


外見は遊んでいる感じで制服を着崩し、カバンは小脇に抱えて、気だるそうに歩いている。


そして、彼の長めの髪が海風になびいている姿にドキッとする。


すれ違った後も私は気になって、彼の後ろ姿を見つめていた。


××××××××××××××
「今日もいい天気♪」


あの日から、失恋したわけでもないのに時々いつもの場所に来ていた。


防波堤に座り、ボーッと海を眺めて心を癒す。


―カツカツカツ


足音が耳に入ってくる。


あの彼が私の方に向かって歩いて来て、話しかけてきた。


「こんにちは。たまにここに来てるよね?」


そう言いながら、私と少し距離を置いて座った。



「…うん、たまに。」


「失恋でもしちゃった?」

その言葉にドキッとして彼を見ると、彼はいたずらっぽく笑った。


「ごめん、気にしないで!俺がよく失恋すると来るから…」


「えっ?」


「俺ってこんな、なりしてるから遊んでそうとか言われるけどホントは違うのにさっ、みんな外見しか見てくれないんだよね。」


彼は悲しそうにハハッて笑っていた。