「もー!マジ、ムカつく!」


「また~?」


「だって、聞いてよ!アイツったらさぁ、私の約束すっぽかして友達とか言って、女と会ってたんだよ!」

「まぁ、まぁ、落ち着きなって!」


「これが落ち着いていられるわけないじゃん!あー、もー!帰る!」


「ちょっと、ミサト!今日、コウヘイくんと帰るんじゃないの?」


「あんな奴、どーでもいいよ!アイツだって昨日ドタキャンしたんだから!じゃあね!」


「ミサト!」


イライラしたまま学校を後にした。


あ゛ーーーーーーーーー!

マジ、ムカつく!


コウヘイとは同級生で付き合って3ヵ月。


チャラい男だとは思ってたけど、時々見せる優しさにキューンとしちゃって、アイツの告白で付き合うようになった。


なのに!


アイツったら、私よりも友達と遊ぶ方を優先にしてるし!


付き合ってからデートなんてした事ないし、手を繋いだ事だってキスだってその先だってない…


これって、ホントに付き合ってんのかな?


私の勘違いだったりして…

さっきまでムカついていたのに、なんだか悲しくなって来た…


まだ帰りたくないなぁ…


さっきからカバンの中のケータイが鳴っている。


たぶんコウヘイからだ…


また、〝友達と遊ぶから″って事でしょ…


はじめからわかっていたはずじゃん!


アイツは彼女より友達を大切にする奴だって…


あー、もー、ヤメ!ヤメ!

今日はたくさん食べて、たくさん寝て嫌な事は忘れてやるー!


家の近くまで行くと門の所の人影に気付いた。


誰だろ?


近付くにつれて、その人影が誰なのか分かってたしまった。


コウヘイだ…


私に気付いたコウヘイは私と向き合い無言で見ている。


ードキン


「今日も友達と遊んでたんじゃないの?」


「・・・」


何も言わないコウヘイに気にせず、門に手をかけた瞬間…


―グイッ


コウヘイに腕を引っ張られ、ギュッと抱きしめられた。