「シンのバカ!信じらんない!」


「ホント、ごめん!ダチに仮があって仕方なくなんだよ。ユリちゃ~ん、許して!」


「その言葉、聞き飽きた!もう、別れる!」


「ユ、ユリ!」


バン!


勢いよくドアを閉め、シンの家を飛び出した。


もう許せない!


私という彼女がいながら、合コンなんて行く?


これで何度目よ!


そのたびに許してきたけど、今度という今度は許せない!


シンとは中学から付き合って3年目。


高校に入った途端、シンは身長も伸び、モテるようになった。


×  × × ×   ×

「ねぇ、ユリ…ホントにいいの?」


「いいの!いいの!」


私は今、親友のカナと合コンに来ている。


シンとはあれから会ってない。


連絡は来てたけど、無視してた。


「やっぱ、まずいって!」

「全然まずくないって!」

今日は嫌な事も忘れて楽しむって決めたんだ。


「えーっ!?ユリちゃんって合コン、お初なの?」


「うん、そうなの」


「かわいいから、モテるでしょ?」


そう言いながら、私の隣にピッタリくっついて座っている合コン男。


なんか苦手なタイプだな…

「ねぇ、2人で抜け出さない?」


耳元で囁かれ、強引に手を掴まれ連れ出された。


えっ?えっ?


「どこに行くの?」


「いい所♪」


どこに連れてく気!?


合コンってこんな感じなの?


シンも同じようなにかわいい子連れ出したのかな?


その時だった…


「ユリ!」


えっ?


声がする方を見るとシンが恐い顔をして立っていた。

シンがこっちに歩いてくるのがわかる。


私はシンの顔を真っ直ぐ見る事が出来ず、俯いた。


近くまで来ると、合コン男と私の手を引き剥がし、私の手を握った。