学校から帰り、家の門に手をかけた時、お隣さんの玄関から誰か出てきた。


また違う女の子…


今月で何人目よ。


「あっ、エリ…今帰り?」

「あっ、うん!アツシはまた、違う女の子?」


「えっ?あ、あぁ…」


アツシはお隣さんに住んでいる私の幼なじみ。


中学まではいつもお互いの家を行き来していたのに…

高校に入ってからはそういうのもなくなって、学校も別でアツシはいつも違う女の子を家に連れ込んでる。

それを見かけるたび、私の心はズキンと痛んでいた。

私のこんな気持ちなんて、アツシは知らないんだろうな。


アツシにとって、私ってただの幼なじみなんだよ…ね?


××××××××××××

「ごめんね、送って貰っちゃって…」


「いいって!いいって!それより大丈夫?」


「うん、今はそれほど痛くないし!」


体育の授業で足を捻挫してしまい、クラスメートのヤマダくんに家まで送ってもらったのだ。


「エリ?」


「あっ!アツシ!」


名前を呼ばれ、振り返ると不機嫌な顔をしたアツシが立っていた。


「今日は1人?めずらしいね。」


「そいつ、誰?」


「えっ?」


「誰って聞いてんだよ…」

「クラスメートのヤマダくんだけど…」


「なんでいんの?」


「なんでって…ケガしたから、家まで送ってくれただけだよ。」


アツシに聞かれるまま答えた。


それでもアツシの機嫌は直る様子はなかった。


「ヤマダくん、ありがと。あとは自分で何とかなるから。」


「そうか?あんま無理すんなよ!じゃあ、またなっ!」


ヤマダくんは手を振って帰っていった。


アツシ、どうしたんだろ?

彼女とケンカでもしたのかな?


ヤマダくんの背中を見送っていると…急に体が軽くなった。


えっ!?


ア、アツシにお姫様抱っこされてる!


「ちょ、ちょっと何するの!降ろしてよ!ねぇ!」


アツシは黙ったまま玄関に入り、階段を上がって私の部屋に行き、ゆっくりベッドの上に降ろした。