それから、翼とリョースケは練習であったときも話さなくなった。授業でも二人は席を離れて座っていた。
二人の間にはあの日から明らかに気まずい空気が流れていた。


(わけわかんねー!)
リョースケはまったく翼の怒っているわけが分らなかった。

逆に、ほかの部員たちは、ただのケンカだとあまり気にしてはいなかった。


翼は、自分が悪いことは百も承知だった。
しかし、毎日イライラしてどうしようもなかった。
リョースケにあたり散らしている自分に一番腹が立つのだ。



「なにがあったかしらねえけど、」
アツシが翼との自主練中に話しかけた。

「リョースケ、ときどきウザいけど、本当にやさしい奴なんだ。おせっかいかもしんねえけどさ、許してやってくれよ。」


「リョースケは一ミリも悪くないよ、」


「え?」


「逆ギレ、」

翼は苦笑いをして言った。




アツシは呆然として翼を見つめる。
「翼も怒ることあるんだな!なんかいっつも冷静だからさ。」


翼、
「そりゃ、普通にムカついたりイライラするし、…それにけっこう優柔不断だし!」


二人はゲラゲラ笑い合った。


翼、
「さあ、まだまだ付き合えよ!」