リョースケがコールドスプレーを翼の右腕に吹きかける。

ここはマサキの部屋だ。






「ありがとな…」
急に翼が言った。


「ん?なんだなんだ?」

翼の肩にアイスノンを巻き付けながらリョースケが言った。



「んっと…」
翼が恥ずかしそうにうつむいた。


「翼ぁ―!」
リョースケは勢いよく翼に抱きついた。


二人はマサキの布団の上に倒れた。


「痛てぇ!痛ててて」
翼が叫ぶ。


「知ってんだぞ―!恋しちゃったんだろ?翼チャン!!」


「…ちょっ」


「だから、杏に治療されるのも嫌だった!泣いちゃってることも知られたくなかった!でしょ?」



「……え?」




「大丈夫だって、誰にも言わねえから!」
リョースケは微笑んで親指を突き上げた。

「……あっそ」

翼が照れてそっぽを向く。





ガチャッ


マサキが入ってきた。


「うっわ!」



マサキが出ていった。







六畳の部屋に敷かれた一組の敷布団の上、


半裸の翼をリョースケが押し倒していた。