「え〜?そお?」
不満げに答えた私に、慶兄は更に言葉を繋げた。
「甘えれる時に甘えとけ。ももは我慢しすぎ」
「甘えるって…別に我慢なんかしてないし、甘える事なんかないもん」
そう答えながらも、私には甘えると言う事がさっぱり分からなかった。
人に甘えるって、何を甘えるの?
子供が親に甘えるみたいな?
そう考え、私はいつから親に甘えるという事をしなくなったかすら覚えていない。
「まぁ…そのうち分かる事しだ、気にすんな」
「そのうち?私が甘えるようにでもなるの??」
「……そーゆーコト」
そう答えた慶兄の顔から、目が離せなかった。
笑っているのに、何故か悲しそうにも見えるのは何故だろう。
その理由も分からず、ただ慶兄の顔を見つめた。
何だか慶兄の様子がおかしい気がしてならない。
私は、ある意味慶兄に甘えていると思う。
でも本音の部分で、誰かに甘えるなんてできなかった。
慶兄が言いたい事は何なのか。
私が考えても分かるはずもなく、ただ優しく慶兄に抱き締められていた。