窓には、激しく雨が当たり、雨足は止むこともなさそうだ。
激しく打ちつける雨音が、私の心に更に影を落とす。
「止まないかな…?」
「どうかなあ。降り続けそうだな」
この季節が終われば、夏がくる。
今日も生ぬるいじめじめした気温で、外に出れば外気はまとわりつくようで気分が悪い。
先程よりも、濃くなってきたように思える湿度は、気のせいなのかもしれない。
そっと私の肩を抱く慶兄の温もりに、そっと頭を預けた。
目を閉じると、リアルに雨音が耳に届いてくる。
「眠いのか?」
「…んーん」
コツンと頭と頭を重ねるようにして、慶兄が反対側の頭を優しく撫でてくれる。
こうしてくっ付いているのに、私が思う事は慶兄に伝わらない。
慶兄の言う話って何だろう。
今すぐ聞きたいのに、いつも通りの慶兄に何も言えない。
ちょっとでも話に触れるような態度なら、私にだって今すぐにでも聞けるのに。
そして何より、瑠衣斗の言葉が頭を埋めている。
真意の読み取れないセリフ。
本音を面に出さない瑠衣。
指の間をすり抜けていく水のように、掴めそうで掴めない。
私は何も掴めていない。
「このまま、誰も帰ってこなきゃいいんだけどなあ〜」
ポツリと言った慶兄のセリフに、閉じていた目をパチリと開けた。