慶兄と二人でいる時は、嫌いじゃない。
話も絶えないし、何より気を使わなくてもいいから好きだ。
でも、瑠衣斗から言われた事が心に引っ掛かってしまい、何だか最近は申し訳なく思ってしまう。
私のために、少ない休みを私にあててくれている。
そんな慶兄の優しさが、私には勿体ないようで仕方ない。
私は慶兄に何かをしてあげれる訳でもないし、何かを与えている訳でもない。
こんな私に、慶兄は何も言わずにそばに居てくれる。
「ねえ…慶兄」
「ん?どした?」
慶兄は……幸せ?
「疲れてない?」
「…は?」
私の言った事が分からないような、そんな表情をした慶兄に私は言葉を続けた。
「仕事…忙しいのに、こうやって付き合ってくれるじゃん?」
「それが…何かあんのか?」
どうって事でもないように答える慶兄は、本当に何とも思ってないのかもしれない。
でも、私は何だか悪くて仕方ないんだ。
「せっかくの休みなのに、ゆっくりできてないじゃん…?」
「なんだ、そんな事か」
私のセリフに、笑いを含んだ慶兄が目を細めて私に向かって微笑んだ。
そんな事…って大事な事じゃない?
学生と違って、社会人の人なんかは休みが大切だと思うし。
ゆっくり休みたいもんじゃないのかな?
不思議に思う私をよそに、慶兄は笑ったまま私に答えた。
「疲れてても、仕事が忙しくても、俺の場合ももが癒やしてくれてる…から?」