「るぅが迎え来てだって。ちょっと行ってくるよ」


そう言って立ち上がった宗太は、いつの間にか瑠衣斗との電話を終えてしまっていたようだ。



「あ!!じゃあついでに送ってってよ♪」


「ん?ああ、いいぞ」




どっこいしょ。と、ゆっくりと立ち上がった美春は、少しだけ体が重そうにしている。


柔らかく膨らんだ下腹部は、まだ小さい。


庇うように片手で支えた手は、愛おしいように優しくお腹を撫でている。




「んじゃあ、先行くね!!アルバムありがと♪」


「はいよ。気を付けてな」


「また連絡するね」



結局、全ての写真に目を通す事もなく、立ち上がった美春に声を掛けた。


少しだけ後ろ髪の引かれる思いだったが、それ以外掛ける言葉も見当たらなかった。


「ついでに龍雅も拾ってくる」


「ああ、頼むな」




そんな会話を聞きながら、龍雅は大学だけど、るぅはどこに居るんだろう…と一人ボーっとそんな事を考えた。



手を振りながら部屋を出て行く美春に手を振り返し、慶兄と共に二人を見送った。



美春が居なくなった部屋は、一気に寂しくなったように静かになり、窓を叩き付ける雨音がより一層クリアに聞こえてくる。


「元気な妊婦さんだなあ」



ポツリと言った慶兄の声は、部屋中に響くように聞こえ、それと同時に顔を慶兄へと向けた。

目が合うと、優しく微笑んでくれた慶兄に対して、私も頬が緩むようだった。