「ねぇもも、いつから行く!?着替えいっぱい持ってかなきゃ〜♪」
「……え?何が?」
「慶兄とるぅちゃんのお家だよぉ〜!!」
……あ〜…またその話ね。
「でも…本当に長居する訳じゃないでしょ?」
「お袋も親父もその気みたいだけどな」
私のセリフに、慶兄は苦笑いしながら答えた。
豪快そうな両親だなあ……。
「多分、断っても勝手に洗濯とかされるだろうから、荷物はそんなにいらねえぞ?」
「へえ〜…でも…さすがに悪いし……」
「何言っても聞かねーぞ。特にお袋は」
逆に何もしてくれなくていいのに!!とは言えないだろうし、素直に甘えた方が簡単なのかもしれない。
「まあ、気を使う相手じゃねえからなあ。」
慶兄と瑠衣斗を見ていると、きっと寛大な両親なんだろうな。と思えてならない。
他の兄弟にも会える事を考えると、何だか楽しみになってくる。
それと同調するように、不安も膨らんでくる。
そして、こんな大人数で押し掛けてしまってもいいものだろうか、と言う疑問もまだある。
何だか考える事がいっきに増えてしまい、何から考えていけばいいのかすら分からない。
降り出した雨は止みそうにない。
何だか気分を憂鬱にするようで、激しい雨音に耳を塞ぎたくなるようだった。