そんな宗太の言葉に、慶兄は笑っているが美春は唇を尖らせている。
「なんだよ…んな怒るなよ」
「さっきも慶兄に同じ事言われたあ!!」
目をパチパチさせて言う宗太に対して、美春はツンとしてしまった。
そんな様子がおかしくて、思わず頬が緩む。
「あーっ、ももまで笑って〜!!」
「え?ゴメンゴメン。可笑しくて」
こんな風に二人みたいになれたら、幸せなんだろうな。
お互いをちゃんと想い合うって、すごい事なんだ。
慶兄は優しい。どこまでも深く私を包み込んでくれるように。
そんな私は、慶兄にはどう映っているんだろう。
私を優しく見つめる澄んだ色素の薄い瞳に、私は皮肉に映っているんじゃないか。
「いいじゃねえか〜。お似合いだぞ。羨ましい」
「…当たり前じゃん!!」
そう言った慶兄の言葉が、何故だか胸に響く。
慶兄は傷付いてない?寂しくない?
そんな事は言えないけれど、私は慶兄にとって、そばに居ていい人なの?
そばに居て欲しいと思える人なの……?
伝わるはずのない言葉は、私の中でどこに行くのだろう。
「宗太もみんなもそう思ってるぞ」
「だから当たり前なの〜♪」
ようやく機嫌を治した美春が、羨ましかった。
慶兄の言った言葉とは意味は違うだろう。
私は、美春が素直で羨ましいんだ。