「ねぇ、そう言えばるぅちゃんは?」


「え?……さあ?」



最近はたまに瑠衣斗と宗太の家に来るだけで、常に一緒に行動している訳ではない。


私から、距離を取っているような感じだ。



近くに居れば居る程、瑠衣斗の言葉ばかり考えてしまう…………。



そう思っていたのに、逆に離れて居れば居るほど、瑠衣斗の事ばかり考えてしまっている自分が居る。



「あいつは自由人だからなあ」



笑いを含んで言う慶兄に、なるほどねぇ。なんて納得してしまう。


「どこでも寝ちゃうしね!!龍ちゃんの次に自由人って感じ」


「龍雅より自由人な奴がいたら会ってみてえよ」



そんな会話を聞きながら、やっぱり私は瑠衣斗を考えてしまう。


慶兄がそばにいるのに、美春がいるのに………。


私の頭の中は瑠衣斗の事ばかりだ。




このままじゃいけない気がする。


でも私は、慶兄との関係を崩す事なんて自分からできない。



やっぱりズルくて酷い人間なんだ。



「お〜っす。あ、慶兄来てたんだ」


「お〜、久々だな」



開かれたドアの先から、ひょっこりと顔を出した宗太は、生温い外気と共に部屋へ足を踏み入れた。


「龍雅必死に単位取りに行ってる」


「あいつらしいなあ」



そう言いながらテーブルを挟んで座ると、開かれたアルバムに目を落とした。



「俊ガチガチじゃん」