慶兄は、私の事をどう考えているのだろう。


瑠衣斗を好きだと気付いていたはず。


私は瑠衣斗への気持ちを忘れようとすればする程、きっと諦めきれずにズルズルと思っていたんだ。



慶兄の優しさに甘えながら。




「慶兄紹介しちゃうの!?ももを紹介するの!?」


「……へっ!?ちょっと美春!?」


思考の渦にどっぷりと浸かっていた私は、美春の突然の声に現実へと引き戻された。



何を言い出すんですかーっ!!



慶兄の事を考えていた最中に、美春が何だか大変な事を言い出した気がする。


紹介って……ご両親だよね?てかそれしかないよね!?



慌てふためく私を余所に、美春はニコニコと私と慶兄を見比べた。



慶兄の顔がみれずに、視線を右往左往させるしかない。



「そうだなあ。……その前にももに話がある」


「……は…なし…??」



ドキリとする胸の鼓動により、頭から変な汗が出てくるようだ。


「きゃ〜〜〜!?」



うん、いいや。この際美春は気にしないでおこう。



その前に?その前にって、紹介………する前に…?


…………えっ……。



「夏休み入ったら、ちゃんと話したい事がある。予定入れんなよ」


「…………」




じっと私を見つめる慶兄は、うっすらと笑みを浮かべている。


「…分かったか?」