「…泣いてんの?」


「泣かねーよ」



私の質問に、ガバッと顔を上げた瑠衣斗に凄まれた。


「お前さあ…んで連絡して来ねーんだよ」


「……は?」


「は?じゃねえ」



え…?だって…てか何で??



さっぱり意味の分からない私は、軽く眉を寄せて瑠衣斗をじっと見つめた。


「電話来てよ……あいつ…りなから」


「……え…っと」



瑠衣斗から発されるりなさんの名前に、胸が鷲掴みされたように痛む。



何か言われたんだろうか。

何を言われるんだろうか。




「お前にまで飛び火させるつもりはねえ。俺が守るっつったのに……俺のせいで傷付けた」


「…る…ぅ?」



瑠衣斗のせいとか、誰かのせいではない。


私が弱いだけ。もっと強くならなきゃいけないだけ。



「悪かった。俺が」


「ちょ…ちょっと待って!!」


「…なんだ」



言葉を遮った私に対して、分かり易く不機嫌そうに眉を寄せた瑠衣斗に、思わず黙り込みそうになってしまう。



「な、何でるぅのせいになるか…分…かんない…んだけど」


「………」


「だって、るぅが何かしたわけじゃないし」


「……まあ」


「ただ、りなさんが私に当たっただけだよ」


「…………」



何も言わずに、じっと私を見つめる瞳は、吸い込まれてしまいそうな程綺麗だ。


そんな不貞腐れたような表情の瑠衣斗は、何かを言いたげに唇を噛んだ。