「うわぁ〜…降るかなあ」
見上げた空には、どんよりと灰色の雲が広がっていた。
慌ててキャンパス内を駆けていく学生が、今にも雨が振り出しそうな事を知らせているようだ。
何度も電話をした瑠衣斗は、講義が終わった頃にやっと連絡が来た。
龍雅に連れられ、宗太と瑠衣斗で夏希と純平のお店へ飲みに行ったらしく、朝方まで付き合わされたようだった。
美春と俊ちゃんの結婚式が終わった翌日、早速遊びになんか行っていたようだ。
あれから、私は考える事が多くなった。
美春のお母さんのセリフは、私に相当な衝撃を与えたようだった。
ウエディングドレスから着替えた美春は、いつまでもニコニコとご機嫌で、それとは対照的に私は何か沈むようだった。
気分は盛り上がりたいのに、何かが邪魔するようで………。
美春の体調を気遣い、すぐに解散して慶兄に家まで送ってもらう頃には、気を張っていたせいか疲れがドッと出たようにすぐに眠りへと落ちたのだった。
ん〜…降るよねえ。バスって何時だったっけ?
最悪だあ…と思いながらも、重い足取りでバス停をへと向かう事にした。
キャンパス内を抜け、バス停が見えた所でバスが来ているのが確認でき、駆け足で走り出した。
「うわ〜方向違う…」
思わずスピードを落としかけた所で、ポツリと頬に何かが落ちてきた。
げえ〜!!やだもう〜…しょうがない。遠回りだけどいいや。
一つの雨を合図に、ポツポツと雨が降り出す。
慌ててバスへと乗り込み、ホッと息を付くと、タイミング良くバケツをひっくり返したような雨が降り出したのだった。
危なかった……。
そう思いながらも、空いている席へと向かい、腰を下ろした。