ずっと、こうしたかったのかもしれない。


誰かに縋って、気持ちを吐き出したかったのかもしれない。



みんなにはどう甘えればいいかなんて、やっぱり分からなかった。


それになにより、こんな私を見せたくなかった。



認めたくなかったのかもしれない。




こんな風に、なりふり構わず子供のように泣くなんて、いつが最後だったのだろう。




「俺も似たようなモンだろう?」



クスクスと笑う気配がするが、顔を上げる事はできない。



きっとるぅは、弟さんの事を言っているに違いない。



言葉は少ないけれど、深い優しさをいつもくれる瑠衣斗。


言葉が少ないのは、言葉の重みを知っているから。



「辛かったよなあ〜。でもま、これからは素直に、俺に甘えろ」



やっぱりなにも言えない私は、ギュッと瑠衣斗にしがみつくしかできない。



何か言いたいのに。

るぅだって、たくさんのモノを抱えているのに。



「大丈夫。俺は十分ももに甘やかされてる」



私の気持ちを読んだように、笑う瑠衣斗。



なんだか瑠衣斗らしくない言い方に、泣きながらも胸が暖かくなっていく。



「もう1人だなんて思うな。俺はももを離すつもりなんてねえし」



「ぐすっ…うん」



鼻にかかった間抜けな声が、自分の耳を掠める。


優しく抱き締めてくれる暖かい手と、瑠衣斗の低い声が、私を落ち着かせていく。



「逃げても無駄だぞ。どこまでも追い掛け回してやる」



やっぱり瑠衣斗らしくない言葉に、ついに私は堪えられず笑ってしまった。


るぅに追い掛けられたら、それこそ瞬殺だよ。


だって、コンパスの長さも違いすぎるし、なにより……。



私自ら、るぅに捕まっていたいんだから。



「覚悟しとけよ?」