私の顔を覗き込むと、塞がれる唇。


その唇の向こうに、私の甘い吐息が吸い込まれていく。



自分の意志とは関係なしに、瑠衣斗の指先でビクンと跳ねる私の体。



「んんっ…!!」



「…力を抜けって」



「はっ…あ…っやめ…」



耳の後ろを舌でなぞられ、一瞬力が緩む。


部屋中に響く2人分の息遣いに、水っぽい音。


自分の物だと理解した途端、恥ずかしさと甘い快感で意味が分からなくなる。



飛びそうになる意識に、ひっしにすがりつく為に歯を食いしばった。



それでも、体を突き抜けていくような甘すぎる快感は、私を弓のようにしならせる。



「やぁだ…やっ…」



「怖くない。怖くないから…力を抜かないと、辛いのはももだぞ?」



そう囁かれても、力なんて抜けない。


抜いてしまったら、本当に私はどうなってしまうかも分からなかった。


それが怖くて、踏ん張るしかなかった。


瑠衣斗の予想もつかない指先の動きに、もう頭は何も考えられなかった。



ただ与えられる甘い痺れに、食いしばって耐えるしか私にはできずにいた。



「本当に…強情な奴だな…」



私はもう、訳も分からなかった。


考えた所で、正しい事なんて理解できないだろう。



「分かったから…もうしない」



いつの間にか、肩で息をする私を、瑠衣斗が呆れたように宥めていた。