何も答えられず、ただ見つめ返すしかできない私は、戸惑いに唇を噛んだ。


理解してしまうと、逃げ出してしまいたくなるから。



ドキドキと鼓動する胸は、抑える事なんてできない。


ちょっとでも力を抜いてしまえば、震えてしまいそうだ。



「沈黙は肯定と取るぞ」



「待って!!…っ、あぁっ…」



胸に埋められた瑠衣斗の頭に、ザラリと肌を滑る感覚。


甘すぎる感覚に、息も絶え絶えに食いしばった。


肌に吸い付かれるたびに、チクンと走る微かな痛み。



こうされる事は、初めてではないけれど、最後までなんて想像すらできない。


生々しいやりとりが、期待と不安、そして恐怖を掻き立てていく。



内股を撫でられた瞬間、電気でも走ったように体が跳ねた。



怖い。



そう思った瞬間、全身が強張るのが分かる。


そんな私に気付いたのか、再び瑠衣斗が体を少し起こすと、顔を覗き込んできた。



「……もも…」



名前を呼んだ瑠衣斗が、あまりにも優しく微笑んだので、私は肩から力を抜く。



そうだよね?まさかいきなり、最後までしないよね?



でも、聞こえてきた言葉は、一瞬では理解できない物だった。



「もう少し、力を抜けよ」



「っあ…やっ…やだあぁっ」



一気に下へと降りた手が、私の秘密を探ろうとする。


それから逃げようと腰を浮かすが、それを抑えるように瑠衣斗が被さってくる。



巧みに動く指先が、私を私じゃなくしていくようだった。