「俺の事だけ考えて…」
ダイレクトに伝わる、熱のこもる掠れた瑠衣斗の声に、頭が痺れる。
優しく解されていくような瑠衣斗の手が、私に甘い感覚を与えていく。
「俺だけを…感じて」
気が付いた時には、瑠衣斗は私に覆い被さっていた。
強い雨音に混じるようにして、2人の息遣いが溶けていく。
時々、ベッドのスプリングがギシッと音を立てて、そんな様子が艶めかしく思えてならない。
何度も何度も触れてくる大きな手のひらに、意識なんか簡単に飛んでしまいそうになり、グッと堪えた。
私、どうなっちゃうの?
このまま、最後は溶けて無くなっちゃうのかも。
体を少し起こした瑠衣斗につられるように、トロンとした意識のままその様子を見上げた。
瑠衣斗は、着ていた服をおもむろに脱ぎ捨て、それがパサリと床に落ちる音がクリアに耳に届く。
まるでそれが、スタートを表す合図のように。
突然浮かび上がった、瑠衣斗のがっしりとした上半身に、思わず生唾を飲み込んだ。
それはまるで、オレンジ色の照明を浴びて、ブロンズの像ように浮かび上がらせている。
見とれる程、綺麗だなんて思った。
男の人に、綺麗だなんておかしいのかもしれないけれど。
少し乱れた瑠衣斗の髪が、何とも言えない色気を纏い、その間からキラリと光る瞳で私を見下ろしていた。
「俺のモノにしてもいいか?」
押さえつけられた手首が、瑠衣斗の体温で熱くなる。
見下ろしてくる瞳から、目がそらせなかった。