ドキドキと、鼓動が全身からしているようで、キュッと目を閉じた。
瑠衣斗にバレてしまうと思うと、恥ずかしさでこれ以上何も言えなかった。
口元に触れる瑠衣斗の首筋が、異様に熱い。
そして、早すぎる鼓動は、私1人の物ではないという事に、ふと気が付いた。
「…るぅ?何か熱いけど熱でもあるん…」
「く、口を…う、動かさないでくれ」
「……え?」
言葉を途中で遮られた事を不思議に思いながらも、言われた通りに唇を結んだ。
私に絡められた瑠衣斗の体が、やっぱり熱い。
背中を落ち着かせるように撫でていてくれる熱い手さえも、それはまるで私ではなく、瑠衣斗自身を落ち着かせようとしているようだ。
どれくらいそうしていただろう。
ふと、瑠衣斗が口を開けた。
「由良んとこにももを預けてくるんじゃなかったな…」
「ももちゃん?預けてきたの?」
「だっ!!だから動かすなよ!!」
「…ねえ、さっきからどうしたの?」
理由も分からないのに行動を制御されてたら、こっちだって納得いかない。
うーん、意味分かんない……。
「あのなあ、どうしてそんなに無防備なワケ?」
「…無防備?」
「だーかーらー!!……誘ってんのか」
誘っ…!?
直接的な言葉に、思わず言葉を詰まらせる。
恥ずかしくなってきて、体がカチーンと固まってしまったようだ。
なんで私が誘ってる事になるんだろう…。
訳の分からないまま戸惑うしかない私を、瑠衣斗はべりっと剥がすように私を離すと、顔を覗き込んだ。
「俺にも我慢の限界ってモンがある」