嬉しいのに、それと同じくらいに苦しい。


瑠衣斗の気持ちは、物凄くダイレクトに私に伝わってきて、どう反応すればいいかさえ分からなかった。



「何か俺、まだ片思いしてるみてえ」



えっ?と思い、思わず瑠衣斗を見上げた。


一瞬不思議そうに目を見開いた瑠衣斗が、次の瞬間にはクスリと笑う。



余裕綽々に見せかけて、内にはたくさんの物を抱えている瑠衣斗。


それを見せないように、今までどんな気持ちで過ごしていたのだろう。



私を一番に考えてくれて、自分の事なんて後回し。


いや、後回しもなにもない。


私だけを、ずっと優先して考えてくれていたんだ。



「じゃあ…私にも約束してくれる?」



「…ん?なんだ?」



こうやっていつも、さり気なく私を甘えさせてるんだなんて、ようやく気が付いた。


私にとって、るぅはよく分からないから。


でもそれって、るぅの本当の優しさだったんだ。


私を思って、いつも私が気付かない所で守ってくれていたんだね。



気持ちがあふれ出しそうになり、でもどうやったらうまく伝わるかも分からなくて、私は思わず瑠衣斗の首に腕を回していた。


瑠衣斗の息を呑んだ気配が、頭の後ろから伝わる。


ビックリしたようにされるがままになっていたが、やがてぎこちなく腕が背中へと回された。




くっついた所から、気持ちが全部るぅに伝わればいいのに。


瑠衣斗の首筋に口元を埋めて、甘く爽やかな瑠衣斗の香りを感じた。



「るぅも、…私には我慢しないで」



「……」



「私だって、受け止めたいよ」




精一杯の、私の気持ち。


少しなら、るぅに伝わってくれたらいいな。