「この部屋はな、元々、弟と一緒の部屋だったんだ」
「…え?」
言われたセリフに、胸がドキンとする。
息苦しい程だったのに、そんな事も気にならなかった。
ゆっくりと仰向けに体勢を変えた瑠衣斗が、じっと天井を見つめる。
何も言葉を発する事もできず、ましてや言葉なんて浮かんできてはくれない。
そんな私に気付いてか気付いてないのか、瑠衣斗が言葉を続ける。
「なあ、もも。辛い事は半分こしよう。俺に、ももの辛い事、半分わけてくれ」
どういう…意味だろう……。
言われた意味は分かるんだけど、真意の程は掴めない。
何も言えないままの私を気にする様子もなく、チラリと瑠衣斗が顔を向ける。
「俺はももの抱えているモノ、受け止めたいんだ。だから、少しでいいから…頼むから、俺に甘えろよ」
「る…ぅ……?」
「俺言ったよな?約束もしただろう?忘れたのかよ」
瑠衣斗が何を言いたいのか、さすがにここまで言われれば分かる。
胸のモヤモヤが再発して、肩に自然と力が入る。
「なにも俺に隠す事なんて、ないだろう」
真剣な顔をする瑠衣斗から、目がそらせない。
何か言いたいのに、言葉なんて出てこない。
喉が詰まってしまったように、グッと詰まる。
「俺の前まで、我慢する事なんてない。いろんなももを沢山見せてくれ?」
やっぱり、るぅには隠し事はできないね。
額に掛かる髪を手で優しく払ってくれると、軽く唇を押し付けられる。
ズクンと胸が痛く音を立てて、顔が熱を帯びていった。