「すぐ治る…」
痛みを堪えながら吐き出した言葉に、溜め息が漏れそうになった。
か細い、弱々しい小さな私の声。
そんな私の言葉を聞いた瑠衣斗は、どうやら完璧に怒ってしまったようだった。
「由良、帰る」
「…え?どうしたの〜?夕飯一緒にしないの〜?」
「コイツ、体調悪いから今日は帰る」
「え!!大丈夫?早く寝かせてあげて」
駆け寄ってきた由良さんが、そっと顔を覗き込んでくる。
優しく頭を撫でられて、思わず泣きそうになった。
瑠衣斗に立たされるように引っ張られると、痛みが増すように頭の中から鼓動する。
思わず片手で頭を抑えて、俯くしかできなかった。
「瑠衣、何かあったらすぐ連絡しろよ」
「…うん。サンキュ」
いつの間にか祐二さんまで近くに居て、瑠衣斗に声を掛ける。
頭上で交わされる言葉を耳にしながらも、意味が頭に入って来ない。
浅く短い呼吸を繰り返す事しかできず、グラリと視界が揺れた。
爽やかで甘い香りが、濃くなって鼻を掠める。
瑠衣斗に横抱きにされると、その温もりと香りに、少し眉間の力を抜いた。