瑠衣斗はそう言いながら、ふっと表情を和らげる。
のぞき込むように視線を絡められると、軽く触れるだけのキスを唇に落としていった。
「なんか、夢見てるみてえ」
「夢…?」
眩しそうに私を見つめる瑠衣斗は、優しく私の髪に触れると、大切な物にでも触れるように頭を撫でてくれる。
誰もいない部屋に、時計の針の音が大袈裟に響く。
「こうやって…ももに触れてる事が、夢でも見てるんじゃないかって」
そんな言葉に、胸が更に切なくなる。
心臓を鷲掴みされたみたいで、うまく機能していないんじゃないかとすら思えてしまう。
そんな事言われたら、私だって同じだよ。
何度も諦めようとしたからこそ、今この現実が夢なんじゃないかって思う。
「それに、2人っきりになりたくても、絶対なれなかったしな」
「そ、それは…しょうがないでしょう?」
「それはそうだけど…俺はずっと2人っきりになりたかった」
恥ずかしくなって、思わず俯いてしまった。
何だか熱っぽい瑠衣斗の瞳に、もう私の心臓は限界値を超えそうだった。
「なんで目をそらすんだ」
「やだ。恥ずかしい」
「ダメ。こっち向けよ」
そして、追いかけるようにして塞がれた唇。
優しく唇に触れられるたびに、好きがどんどん増えていく。
受け止める事でいっぱいいっぱいな私は、恥ずかしさやなんやらで必死だ。
じゃれ合うようなキスに、瑠衣斗の優しい笑顔だけが私を包み込んでいた。