「それに、わざわざそんな事言える程、私積極的じゃないよ」
だとしたら、相当自分に自信があったりするんだろうな。
好きって言葉にするだけでも、意識したら絶対言えないもん。
そう思ったら、美春ってすごいな。なんて思ってしまう。
「ふうん…じゃ、好き?」
「へえ!?」
「好き?」
まさに今考えていた事を言われて、驚きで固まる。
どんどんと熱を持つ顔に、さらにはそんな顔が引きつる事まで分かってしまう。
優しく見つめられているようで、何だか含みを感じてしまうその表情は、きっと気のせいではない。
私が答えられずに黙っていると、そんな様子に今度は不機嫌そうに私を見つめる。
貫禄があるもんだから、まるで睨まれているようにも感じてしまうんだけど。
「す…すっ……すき?」
そして私のそんな言葉に、見事に刻まれる眉間の皺。
不満そうに顔をしかめると、ずいっと間近に瑠衣斗の顔が迫る。
「なんで俺に聞くの」
「ひぇっ…」
ぐいっと力を込められ、思わず私の口から間抜けな声が漏れる。
ドキドキと高鳴る鼓動と、浅い呼吸しかできず、胸が苦しくてたまらなくなる。
言葉がうまく出てこなくて、喉に張り付いてしまっているようだ。
「あーもう。そーゆう顔すんなよ。反則だって」