瑠衣斗が息を飲んだような気配がして、次の瞬間には強く抱き締められた。
息ができなくなるくらい苦しくて、声が出ない程驚く。
瑠衣斗の甘くて爽やかな香りが、濃く香る。
「2人で、体験しようか」
「…た、体験?」
「…同棲。体験してみるか」
言われたセリフに、胸が高鳴る。
思ってもみなかったセリフに、いとも簡単に気持ちが浮上する。
瑠衣斗の言葉には、まるで魔法でもかけられているような、そんな力があるんだ。
私と瑠衣斗との将来を予想させるような、そんな言葉に、私は嬉しさから素直に頷いた。
力強い腕が緩むと、頬に触れる瑠衣斗の大きく優しい手。
誘われるように顔をあげると、眩しそうに目を細めた瑠衣斗が、私を見つめている。
吸い込まれてしまいそうな程、憂いを含んだ瞳の色に、見つめられたらそらせなくなる。
そっと近付いた瑠衣斗の唇が、私の唇を塞いだ。
優しく落とされる口付けに、体が熱を持ったように熱くなるのが分かった。
「今日は…邪魔する奴がいねえ…」
少しだけ唇を離した瑠衣斗が、熱っぽく呟く。
「止まんなくなったら、やべえ」
そう言って、再び唇を重ねてきた瑠衣斗の唇は、燃えるように熱かった。