「わた、私、美春に電話してみる…」
「どーぞ」
何だか面白そうに笑う瑠衣斗に、私まで笑えてきそうになる。
人間、あまりにも驚きすぎると、最終的には笑えてくるのかもしれない。
美春は、まるで私から電話がある事が分かっていたかのように、ワンコール目で電話に出た。
「もも〜?おはよう!!ビックリした〜?」
「おはよう。ビックリしすぎて笑えてきちゃったよ」
電話の向こうからは、賑やかなみんなの声が聞こえてくる。
誰から言い出したかは想像もしたくないけれど、きっと事前に計画的に仕組まれたに違いない。
「ごめんねー!!せっかくだからるぅちゃんと2人きりにしたくて!!」
「え!!ちょっとみ…あ、えーと…そ、そうなんだ」
そうだ!!るぅと2人っきりだ!!ビックリしすぎて冷静になれてなかった!!
思わず瑠衣斗が居る事で、グッと言葉を飲み込んだ。
状況が分かるにつれて、気持ちが焦りだす。
戻ってきて欲しいと言うにも、やっぱり瑠衣斗が居る手前、言う事もできずにやっぱり言葉を飲み込む。
「うふふ。帰ってきたらいろいろ聞かせてね♪じゃあね〜!!!!」
「えー!!ちょっと待って美春!!」
私の叫びも虚しく、耳元を掠める通話の終了を表す機械音。
ど……………どうしよ。
「ま、そーゆう事だから」
「…………」
え〜え〜え〜。
ありえないんだけど。
固まって立ち尽くす私に向かって、瑠衣斗が穏やかな笑顔を向けてくれる。
いつもならホッとするような笑顔も、今は意識し過ぎてしまって良い言葉すら出てこない。
「俺らも帰る事はできるけど、どうする?」